【Dr.の眼】安田記念:過去10年レース傾向&勝ち馬分析(最新版)


春のマイル王座をかけた伝統の一戦「安田記念」。

春季の連続開催も終盤を迎える東京競馬場で行われ、馬場状態の把握も勝ち馬を見抜く上で見逃せないポイントです。

外国馬の参戦や海外レースからの直行組、さらには同じ舞台のヴィクトリアマイルを制した牝馬の挑戦も加わり、極めて難解な一戦と言えます。

この「安田記念」の過去10年のレース傾向と勝ち馬分析が、WIN5攻略の一助となれば幸いです。

安田記念:過去10年レース傾向(最新版)

この章で解説する内容は次の通りです。

  • 安田記念 過去10年の傾向【早わかりガイド】(最新版)
  • 安田記念の過去10年のレース結果一覧

安田記念:過去10年の傾向【早わかりガイド】(最新版)

安田記念の過去10年のレース結果を多角的に分析し、WIN5検討の基礎となる客観的なデータを項目別に整理しました。それぞれの傾向から、どのような事実が読み取れるかを見ていきましょう。

人気順の傾向

過去10年の勝ち馬10頭のうち1番人気(2·3·3·2)は2頭に過ぎず、WIN5的観点からの信頼度は低いと言わざるを得ない。また、2番人気(0·1·2·7)が勝利ゼロという意外性も見逃せない。最多は4番人気(3·1·1·5)の3勝で、さらに7〜9番人気が計4勝(4·1·1·24)を奪取し、人気の盲点となった伏兵馬がしばしば波乱を呼んでいる。

高配当決着のトリガーとなりやすく、安田記念は上位人気だけでは収まらないレース質と言えます。

枠順の傾向

最多の4勝を挙げたのは7枠(4·1·3·16)で、他を大きく上回る勝ち星となっている。3枠(2·1·1·15)・5枠(2·1·1·16)が各2勝、4枠(1·2·1·15)と8枠(1·1·2·21)が1勝で続く一方、1枠(0-1-1-15)・2枠(0·2·0·15)・6枠(0·1·1·18)からは勝ち馬が出ていない。とくに7枠は好成績が目立つが、7枠・8枠はフルゲート時に限らず出走頭数が多くなる構造上の特性もある点には留意したい。

全体としては外寄りの枠が優勢で、内寄りの信頼度は低く、安田記念は枠順によって明暗が分かれる傾向があリます。

リピーターの傾向

過去10年の勝ち馬の中で、同一馬による複数回の勝利を挙げたのはソングラインのみである。2023年・2024年の連覇はこの10年間で唯一の事例となっており、基本的には1回限りの勝利が大半を占める構図である。ただし近年で明確なリピーターが現れたことで、コース適性やレース質への順応が勝ち馬選定に影響する可能性も示唆されている。

連覇が実現したのは1頭のみですが、近年の例を踏まえると、前年の勝ち馬や安田記念の実績馬は軽視できない存在です。

血統の傾向

過去10年の勝ち馬10頭のうち、6頭がサンデーサイレンス系で、その中でもディープインパクト系はキズナ産駒を含めて計5勝を挙げており、大舞台に強いSS系が中心的存在となっている。一方、非SS系の勝ち馬4頭のうち2頭は、Frankel産駒やローエングリン産駒といったSadler's Wells系であり、欧州型の父系も舞台適性を見せている。

大舞台でこそ勝負強さ発揮するSS系(特にディープインパクト系)の安定感が顕著で、血統背景は決して軽視できません。

性別の傾向

勝ち馬10頭中6頭が牡馬(6·5·9·112)であり、出走数の多さから主力を担っていることがうかがえる。一方で、出走数が限られる牝馬(3·5·1·12)も3勝を挙げており、近年ではグランアレグリアのようなトップ牝馬も結果を残した。騸馬(1·0·0·7)はわずか1勝にとどまるが、2024年には外国馬Romantic Warriorが勝利している。性別による大きな偏りは見られず、能力次第で勝機を掴む構図となっている。

出走母数の差はありますが、性別にかかわらず実力馬が勝ち切る傾向が見られます。

年齢別の傾向

過去10年で最も多く勝利を挙げているのは4歳馬(5·3·2·30)の5勝であり、全体の中心を担っている。続くのは6歳馬(3·1·3·35)の3勝、5歳馬(2·5·3·39)の2勝で、4〜6歳に勝ち馬が集中している構図となっている。一方で、3歳馬(0·0·1·3)および7歳以上(0·1·1·24)の高齢馬は勝利例がなく、いずれも苦戦傾向が見られる。出走頭数を加味しても、ピーク世代にあたる4〜6歳馬が明確に優勢である。

勝ち馬はすべて4〜6歳に集中しており、年齢面でははっきりと偏りが出ています。

斤量別の傾向

過去10年の勝ち馬は58kgの牡馬・騸馬が6頭、56kgの牝馬が3頭である。牝馬は―2kgの定量差を背景に、出走頭数に対して高い勝率を示す。3歳馬(牡54kg・牝52kg)の勝利例は直近10年にないが、リアルインパクト(2011年)が54kgで勝った前例が示す通り、4kg差が結果を左右する一因となる可能性がある。斤量は性齢を横断して勝ち馬を後押しする要素である。

斤量差は数値以上に効くことがあるので、WIN5で買い目を絞る際は念のため意識しておくと安心です。

騎手の傾向

過去10年の勝ち馬のうち、川田将雅が3勝で最多を記録しており、その存在感が際立っている。次いで池添謙一が2勝、他は各1勝と特定騎手の勝利が集中している傾向が見られる。共通するのは、その殆どがGⅠ実績豊富な騎手であり、リーディング上位またはビッグレース常連が好結果を残している点だ。難解な一戦を読み切るには、騎手の技量と経験が不可欠といえる。

騎手はリーディング上位やGⅠ常連に偏っており、経験値の裏付けは見逃せない要素です。

オッズの傾向

過去10年の勝ち馬10頭のうち6頭は、単勝10倍を超えるオッズでの勝利だった。なかでも30倍超の伏兵が2頭含まれており、波乱の要素が色濃い構図となっている。一方で、単勝1倍台(0·3·1·0)に支持された4頭はいずれも敗れており、断然人気馬がそのまま勝ち切る傾向は見られない。人気とオッズの乖離が際立つレース傾向が見て取れる。

単勝1倍台の馬は4回全て敗れ、30倍超の伏兵馬が2回も勝利するなど、オッズに捉われない発想が求められます。

所属の傾向

過去10年の勝ち馬は関東馬6頭(6·7·5·42)・関西馬3頭(3·3·5·84)・外国馬1頭(1·0·0·5)。出走頭数は関西馬が上回っているにもかかわらず、勝利数では関東馬が大きくリードしている。特に直近5年では、関西馬は毎年多数出走しているものの勝利から遠ざかっており、東京開催の地元利が色濃く表れている。所属地による勢力図の変化には今後も注視が必要である。

関西馬の出走数が多い中で関東馬が結果を残している点は、輸送や地元適性にも着目すべき傾向といえます。

脚質・上りの傾向

過去10年の勝ち馬は、中団からの差し脚質(6·3·6·52)が最多の6勝で、後方からの追込(2·3·3·41)が2勝、先行(1·2·1·31)・逃げ(1·2·0·7)は各1勝にとどまる。上り3Fでは最速(3·3·3·3)が3勝、2位(2·0·0·6)が2勝、3位(1·2·3·8)が1勝と、上り上位での勝利が多数を占めている。一方で、逃げ・先行策から押し切る形での勝利例もあり、位置取りと末脚のバランスが勝敗を分ける要素となっている。

差し・追込が主流ながら、展開次第で逃げ・先行脚質が勝った例もあり、位置取りと脚の使いどころが重要になります。

ペースの傾向

過去10年の前後半3Fタイムの比較では、スローペースに分類される年が3回、残りはすべて平均ペースで、ハイペースは一度も記録されていない。過度に速い流れになるケースは少なく、ペースが緩めば瞬発力勝負、平均ペースなら位置取りや仕掛けの巧拙が結果を左右する。先行勢の粘り込みもあれば差し馬の台頭もあり、一定の持続力と判断力が試される展開になりやすい。

ハイペースは過去10年で一度もなく、持続力と瞬発力を状況に応じて発揮できる対応力が問われます。

ステップレースの傾向

過去10年の勝ち馬は、多彩な前走ローテーションを経て安田記念に臨んでおり、王道路線と呼べるパターンは存在しない。近年はヴィクトリアマイル組の活躍が目立つが、マイラーズC、高松宮記念・京王杯SCのほか、別路線からの勝ち馬も存在する。前走着外からの勝利も4回あり、臨戦過程に明確な共通項は見出しづらい傾向にある。

格や距離、前走着順を問わず勝ち馬が出ており、定型パターンに頼らない見極めが求められます。

安田記念:過去10年のレース結果一覧

開催 着順 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 人気 単勝 所属 着差 上り3F 通過順位 ラップ

ペース
前走 着順
2024
18頭
小雨
稍重
1 4 7 Romantic Warrior セ6 58.0 マクドナ 1 3.6 シャム 1:32.3 33.4 ーー⑥⑤ 前半34.5 QE2世C 1
2 3 5 ナミュール 牝5 56.0 武豊 4 10.0 高野友 1/2 32.9 ーー⑬⑬ 後半33.9 ヴィクトリアマイル 8
3 5 10 ソウルラッシュ 牡6 58.0 モレイラ 2 4.0 池江泰 ハナ 33.1 ーー⑩⑪ M マイラーズC 1
2023
18頭

1 8 18 ソングライン 牝5 56.0 戸崎圭 4 7.4 林徹 1:31.4 33.1 ーー⑪⑨ 前半34.2 ヴィクトリアマイル 1
2 2 4 セリフォス 牡4 58.0 レーン 3 5.8 中内田 1.1/4 33.6 ーー④⑤ 後半33.8 ドバイターフ 5
3 7 14 シュネルマイスター 牡5 58.0 ルメール 1 4.2 手塚貴 アタマ 32.8 ーー⑮⑮ M マイラーズC 1
2022
18頭

1 7 13 ソングライン 牝4 56.0 池添謙一 4 8.2 林徹 1:32,3 32,9 ーー⑩⑩ 前半34.7 ヴィクトリアマイル 5
2 5 9 シュネルマイスター 牡4 57.0 ルメール 2 4.9 手塚貴 クビ 32.9 ーー⑬⑩ 後半33.6 ドバイターフ 8
3 8 17 サリオス 牡5 58.0 レーン 8 15.7 堀宣行 アタマ 33.0 ーー⑦⑨ S 高松宮記念 15
2021
14頭

1 7 11 ダノンキングリー 牡5 58.0 川田将雅 8 47.6 萩原清 1:31.7 33.1 ーー⑧⑧ 前半34.9 天皇賞(秋) 12
2 4 5 グランアレグリア 牝5 56.0 ルメール 1 1.5 藤沢和 アタマ 32.9 ーー⑪⑪ 後半33.9 ヴィクトリアマイル 1
3 8 13 シュネルマイスター 牡3 54.0 横山武史 4 10.2 手塚貴 1/2 33.4 ーー⑤⑤ S NHKマイル 1
2020
14頭

稍重
1 7 11 グランアレグリア 牝4 56.0 池添謙一 3 12.0 藤沢和 1:31.6 33.7 ーー⑧⑦ 前半34.2 高松宮記念 2
2 4 5 アーモンドアイ 牝5 56.0 ルメール 1 1.3 国枝栄 2.1/2 33.9 ーー⑪⑪ 後半34.3 ヴィクトリアマイル 1
3 4 6 インディアチャンプ 牡5 58.0 福永祐一 2 7.0 音無秀 1/2 34.1 ーー⑨⑦ M マイラーズC 1
2019
16頭

1 3 5 インディチャンプ 牡4 58.0 福永祐一 4 19.2 音無秀 1:30.9 32.9 ーー④⑤ 前半34.5 マイラーズC 4
2 1 2 アエロリット 牝5 56.0 戸崎圭太 3 12.5 菊沢隆 クビ 33.9 ーー①① 後半33.9 ヴィクトリアマイル 5
3 7 14 アーモンドアイ 牝4 56.0 ルメール 1 1.7 国枝栄 ハナ 32.4 ーー⑪⑨ M ドバイターフ 1
2018
16頭

1 5 10 モズアスコット 牡4 58.0 ルメール 9 15.7 矢作芳 1:31.3 33.3 ーー⑪⑫ 前半34.2 安土城S 2
2 2 4 アエロリット 牝4 56.0 戸崎圭太 5 10.7 菊沢隆 クビ 34.0 ーー③③ 後半34.5 ヴィクトリアマイル 4
3 1 1 スワーヴリチャード 牡4 58.0 Mデムーロ 1 2.8 庄野靖 3/4 33.9 ーー⑤⑤ M 大阪杯 1
2017
18頭

1 7 14 サトノアラジン 牡6 58.0 川田将雅 7 12.4 池江泰 1:31.5 33.5 ーー⑭⑮ 前半33.9 京王杯スプリングC 9
2 8 16 ロゴタイプ 牡7 58.0 田辺裕信 8 14.6 田中剛 クビ 34.4 ーー①① 後半34.4 中山記念 3
3 3 6 レッドファルクス 牡6 58.0 Mデムーロ 3 7.9 尾関知 クビ 33.7 ーー⑭⑬ M 京王杯スプリングC 1
2016
12頭

1 5 6 ロゴタイプ 牡6 58.0 田辺裕信 8 36.9 田中剛 1:33.0 33.9 ーー①① 前半35.0 中山記念 3
2 6 8 モーリス 牡5 58.0 ベリー 1 1.7 堀宣行 1.1/4 34.0 ーー②② 後半33.9 Champions Mile 1
3 7 10 フィエロ 牡7 58.0 内田博幸 6 29.5 藤原英 ハナ 33.5 ーー⑨⑨ S マイラーズC 4
2015
17頭

1 3 6 モーリス 牡4 58.0 川田将雅 1 3.7 堀宣行 1:32.0 34.5 ーー③③ 前半34.3 ダービー卿CT 1
2 7 13 ヴァンセンヌ 牡6 58.0 福永祐一 3 6.6 松永幹 クビ 33.7 ーー⑫⑩ 後半34.7 京王杯スプリングC 2
3 6 12 クラレント 牡6 58.0 田辺裕信 12 42.7 橋口弘 1.1/4 34.5 ーー⑤④ M マイラーズC 10

【Dr.の眼】安田記念:過去傾向から見る勝ち馬分析

(近日公開予定)※傾向分析パートは順次更新いたします。

この章で解説する内容。
内容は変更になる場合があります。

  • 過去の勝ち馬に共通する人気・年齢・所属の傾向
  • 枠順×脚質から読み解く安田記念の過去傾向
  • 血統・前走レースから導く過去の勝ち馬パターン

【Dr.の眼】 安田記念 過去の“あのレース”が教える「真の傾向」

数あるGIレースの中でも、この安田記念というレースには、私自身、特別な思い入れ、いや、どちらかと言えば「苦い記憶」が真っ先に蘇ってきます。

あれは忘れもしない2011年、WIN5が導入された初年度のことでした。その日、僕はWIN4まで見事に的中させ、最終レースの安田記念を迎えました。しかも、最後の関門であるこのレース、僕はストロングリターンの一点勝負で臨んでいたのです。的中に片手をかけ、固唾を飲んで見守った最後の直線。ストロングリターンがリアルインパクトとの壮絶な叩き合いを演じましたが、クビ差及ばず2着。あと一歩のところで、夢にまで見たWIN5のパーフェクト的中を逃してしまいました。当時はキャリーオーバー発生時でもないのに、13億円以上という破格の売上が記録された時期でした。それだけに、目前で消えた高額配当と一点勝負の重みが交錯し、数日間、その悔しさが頭から離れませんでした。

このレースを制したのは、単勝9番人気、当時3歳だったリアルインパクト。実はこの一戦こそが、その後の安田記念というレースの難解さ、そしてWIN5攻略における「妙味」を如実に示していたと言えるのではないでしょうか。

当時のリアルインパクトの勝利を振り返ってみると、まさに安田記念の傾向を凝縮したかのような要素が散りばめられていました。

  • 3歳馬という若さ、そして斤量の恩恵: ダービーではなくマイル路線を選択した3歳馬が、古馬との斤量差4kgというアドバンテージを最大限に活かしました。これは、本記事の斤量別傾向で触れているように、「斤量差は数値以上に効くことがある」という点を先取りするような結果でした。
  • 絶対的女王の敗北: 単勝2.2倍と断然の1番人気に支持された前年の覇者アパパネが6着に敗退。これも、本記事のオッズ傾向で述べたように、「単勝1倍台の馬は4回全て敗れ」や、「上位人気だけでは収まらないレース質」を象徴する出来事でした。
  • ハイペースへの適応: 前半3ハロン33.9秒、後半3ハロン35.0秒というハイペースの展開。本記事のペース傾向では「ハイペースは過去10年で一度もなく」と分析していますが、この年は平均ペースを上回る厳しい流れとなりました。そんな中でも、リアルインパクトは先行集団でレースを進め、最後まで粘り抜きました。
  • 上がりタイムだけではない強さ: リアルインパクトの上がり3ハロンはメンバー中6位。最速の上がりを使った馬が必ずしも勝つわけではないという、これもまた安田記念の難しさの一端を示すデータと言えるでしょう。本記事の脚質・上りの傾向でも「差し・追込が主流ながら、展開次第で逃げ・先行脚質が勝った例もあり」と述べています。
  • 血統の魅力: 父は言わずと知れた大種牡馬ディープインパクト。産駒は瞬発力に優れ、東京コースを得意とする馬が多い傾向にありますが、リアルインパクト自身は前述の通りハイペースを前目で粘り込むという、父のイメージとは少し異なる強さを見せました。これは、母系の影響や個体差はもちろんのこと、安田記念というレースが単なるスピードだけでは押し切れない、スタミナや精神力も問われる舞台であることの証左とも言えるでしょう。今後、血統分析の章でも詳しく触れる予定ですが、サンデーサイレンス系の種牡馬が強い傾向にある中でも、父系だけでなく母系の特徴や馬自身の適性を見極める重要性を示唆しています。
  • 人気の盲点: 前走NHKマイルカップで3着と実績はあったものの、同じ東京芝1600mの3歳GIですら勝ちきれなかった馬が、百戦錬磨の古馬、しかもGI馬が多数出走する安田記念で勝利するというのは、まさに「競馬の常識」からすれば考えにくいことでした。しかし、安田記念は時にそうした常識を覆す結果が生まれるレースであり、「人気の盲点となった伏兵馬がしばしば波乱を呼んでいる」という本記事の傾向分析にも合致します。
  • 枠順の利: 7枠14番という、比較的有利と言われる外寄りの枠からの発走でした。本記事の枠順傾向でも「7枠 (4・1・3・16)で、他を大きく上回る勝ち星」と解説しています。
  • 名手への乗り替わり: テン乗り(初騎乗)となった戸崎圭太騎手(当時はまだ地方所属)の手綱捌きも見事でした。GI初制覇となったこの勝利が、その後の彼の飛躍の大きな一歩となったことは言うまでもありません。これも「騎手はリーディング上位やGI常連に偏っており、経験値の裏付けは見逃せない要素」という現在の傾向とは少し異なりますが、大舞台での思い切った騎乗が波乱を呼ぶ可能性を示唆しています。

このように、2011年のリアルインパクトの勝利は、斤量、人気、展開、血統、枠順、そして騎手といった様々な要素が絡み合い、一筋縄ではいかない安田記念のレースの姿を浮き彫りにしたのです。

もちろん、これは10年以上前のレースであり、現在の傾向と完全に合致するわけではありません。しかし、この「波乱を内包するレースである」という本質的な部分は、今も昔も変わらないのではないでしょうか。

だからこそ、安田記念はWIN5対象レースとして非常に攻略しがいのある、そして高配当の夢を見させてくれる一戦だと、僕は考えています。過去のデータ分析を踏まえつつも、時にはこうした「人気の盲点」や「意外な伏兵」に目を向ける勇気を持つこと。それが、難解なマイル王決定戦を制する鍵となるのかもしれませんWIN5予想において、最終レースの安田記念を安易な1点買いで挑むのは、極めてリスクが高いといえるでしょう。

2025年6月1日