【WIN5格言集#4】ルメールの選択さえ覆す「戸崎マジック」を心に刻むべし

2025年1月7日

GⅠレースでは、ルメール騎手や川田騎手のようなトップジョッキーが主戦を務める有力馬が、同じレースに何頭も出走することがあります。こうした場面では、彼らが最終的に選んだ馬が最も良い成績を収めると考えるのが競馬の常識です。実際、ルメール騎手や川田騎手の選択眼は非常に正確で、その判断が外れることは滅多にありません。

しかし、この常識を覆す現象が稀に起こります。そして、その立役者の1人が戸崎圭太騎手です。「戸崎マジック」と名付けたこの現象は、主戦ジョッキーが選ばなかった馬に戸崎騎手がテン乗りで騎乗し、GⅠレースの舞台で勝利を収めるというもの。2024年の有馬記念では、ルメール騎手が選ばなかったレガレイラに戸崎騎手がテン乗りで騎乗し、見事に優勝したのがその典型例です。

今回は、この「戸崎マジック」の背景に迫りながら、競馬の常識を覆すその力と秘密を解き明かしていきます。WIN5予想の新たな視点として、ぜひ参考にしてください。

ルメールの選択さえ覆す「戸崎マジック」を心に刻むべし

重賞レースの中でも特にGⅠレースでは、ルメール騎手や川田騎手といったトップジョッキーが主戦を務める馬が複数出走することがあります。こうした状況は、WIN5の買い目を取捨選択するうえで非常にラッキーな機会と言えるでしょう。

なぜなら、彼らが複数の馬から最終的に選んだ馬は、ほとんどの場合、それらの馬の中で最も良い結果を残すからです。しかし、その「鉄板の選択」が揺らぎ、競馬予想の常識が覆される瞬間もあります。

この記事では、競馬予想の常識を覆す戸崎圭太騎手にフォーカスし、2024年有馬記念をはじめとした「戸崎マジック」の過去の事例とその背景に迫ります。

レガレイラの有馬記念 〜戸崎マジックが刻んだ歴史的快挙〜

2024年の有馬記念は、ルメール騎手が主戦を務めていた、あるいは主戦を任せられるようになった馬として、アーバンシック、ローシャムパーク、スターズオンアース、レガレイラ、ジャスティンパレスの5頭が出走登録していました。この中で、ルメール騎手が最終的に選んだのは、菊花賞を制したアーバンシックでした。ドウデュースの回避もあり、アーバンシックは1番人気に支持され、期待が集まりました。

一方、テン乗りで戸崎騎手が騎乗することになったレガレイラは4番人気。ちなみに、netkeibaの予想(CP予想含む)では15名全員が◎(本命)○(対抗)▲(単穴)のいずれの印もつけないほど評価が低く、WIN5の買い目から外すのが当然の策であると考えられる状況でした。

しかし、レースは大方の予想を裏切る展開に。アーバンシックはスタートで出遅れ、さらに横山典騎手が意表をついた逃げで超スローペースに持ち込んだことで流れを崩され、6着に沈む結果となりました。一方のレガレイラは、戸崎騎手が終始好位につけ、直線で上がり最速の脚を披露。64年ぶりとなる3歳牝馬の有馬記念制覇という歴史的快挙を成し遂げました。

このレースは、競馬予想の常識である「ルメール騎手の選択」を覆し、「戸崎マジック」の存在を心に刻むべきであることを教えてくれる一戦となりました。

  このレースで押さえておきたいポイント

歴史が語る「戸崎マジック」の軌跡

実は、競馬予想の常識を覆した『戸崎マジック』は、2024年の有馬記念以外にも2回炸裂しています。鮮烈な印象を残したこれらの事例を取り上げ、その軌跡を辿ります。

ソングラインのヴィクトリアマイル 〜復活劇を演じたテン乗りの妙〜

2023年のヴィクトリアマイルでは、桜花賞とオークスの2冠を達成し、その後も秋華賞3着、大阪杯2着という実績を誇るスターズオンアースが1番人気に支持されました。このスターズオンアースには、主戦ジョッキーであるルメール騎手が騎乗。一方で、ルメール騎手はもう一頭、主戦を務めていたソングラインを選択することもできたはずでした。

しかし、そのソングラインは前年の安田記念を制した後、5着、10着と成績が振るわず、しかも海外遠征帰りで3ヶ月の休養明け。このレースにおける期待値は低く、netkeibaの予想(CP予想含む)でも◎◯▲の印をつける予想家は誰一人としていない状況でした。こうした背景を考えれば、ルメール騎手がスターズオンアースを選択するのは、当然の流れです。

そんな中で、戸崎騎手がテン乗りでソングラインに騎乗することが決定した後、レース本番に向けての準備には特別な力の入れようがありました。GⅠレースでさえ殆んど見られない、戸崎騎手自らが3週連続で調教に跨るという入念さを見せたのです。

その結果、本番のレースでは、ソングラインが本来の能力を発揮。スターズオンアース(3着)やソダシ(2着)を直線で力強く差し切り、見事な復活劇を演じました。この一戦で、戸崎騎手の「テン乗りの妙」がまたも輝きを放ったと言えるでしょう。

  このレースで押さえておきたいポイント

  • 戸崎騎手はテン乗りだった
  • スターズオンアースが1番人気で、ソングラインは4番人気
  • 上がり3ハロン2位で勝利
  • 戸崎騎手が直前を含め3週続けて調教に跨っていた
  • 2週続けていい追い切りができたと◎の厩舎コメントあり

ストレイトガールのヴィクトリアマイル 〜不人気馬の快走劇〜

2015年のヴィクトリアマイルで、2015年のヴィクトリアマイルでは、岩田康成騎手が主戦を務めるオークス馬ヌーヴォレコルトが、圧倒的1番人気に支持されました。桜花賞3着、秋華賞とエリザベス女王杯でいずれも2着、そして前走の牡馬混合戦である中山記念を制した実績を考えれば、この評価は当然と言えるでしょう。その一方で、岩田騎手にはもう一頭、主戦を務めていたストレイトガールという選択肢もありました。前年のヴィクトリアマイルで3着の実績を持つものの、基本的には1200m戦を主戦場とする馬で、ヌーヴォレコルトを選ぶのは妥当な選択でした。

実際、ストレイトガールはnetkeibaの予想(CP予想含む)でも◎◯▲の印をつける予想家が一人もいない状況でした。厩舎コメントにも「香港帰りや道悪など厳しい条件が重なったにしても負け過ぎ。いつもの調整パターンに戻してスタッフ一丸で仕上げた。改めて。」とあり、評価は低く見られていました。そんな中、ストレイトガールにテン乗りで騎乗することになったのが戸崎騎手。美浦所属の戸崎騎手がわざわざ栗東まで遠征し、1週前の追い切りで調教に跨るなど、レースに臨む意気込みを感じさせるものでした。

そして迎えたレース本番。ストレイトガールはゴール手前200mあたりから豪脚を披露し、人気薄のケイアイエレガント(12番人気)とミナレット(18番人気)をゴール直前で鮮やかに差し切る劇的な勝利を収めました。1番人気のヌーヴォレコルトが6着に沈む中、ストレイトガールがもたらしたのは、驚愕の逆転劇と3連単2000万円超えのビッグ配当。まさに「戸崎マジック」が炸裂した一戦となったのです。

  このレースで押さえておきたいポイント

  • 戸崎騎手はテン乗りだった
  • ヌーヴォレコルトが1番人気で、ストレイトガールは5番人気
  • 上がり3ハロン3位で勝利
  • 戸崎騎手が1週前追い切りで栗東へ遠征して調教に跨っていた
  • スタッフ一丸で仕上げた。改めて。との厩舎コメントあり

なぜ「戸崎マジック」が生まれるのか?

「戸崎マジック」と呼ばれる現象が生まれる背景には、いくつかの要因が考えられます。戸崎騎手がテン乗りで馬の力を引き出し、GⅠレースという大舞台で結果を残すには、彼自身の能力や周囲の状況が複雑に絡み合っています。

テン乗りで結果を出す戸崎騎手の真価

これまで、主戦ジョッキーが選ばなかった馬にテン乗りで勝利を収めた「戸崎マジック」の事例を紹介してきました。しかし、実はこれらのレース以外にも、戸崎騎手がテン乗りでGⅠ勝利を果たしたレースが2つ存在します。

リアルインパクトの安田記念 〜JRAでのGⅠ初勝利〜

2011年の安田記念で戸崎騎手は、中央競馬でのGⅠ初勝利を達成しました。唯一の3歳馬だったリアルインパクトは9番人気という低評価を覆し、テン乗りという厳しい条件下にもかかわらず、斤量差を活かした見事なレース運びで勝利を掴みました。この勝利は、地方競馬出身のトップジョッキーとして全国にその名を轟かせた歴史的な一戦となりました。

阪神ジュベナイルFのレッドリヴェール 〜ハナ差で掴んだ栄光〜

2013年の阪神ジュベナイルフィリーズでは、戸崎騎手はテン乗りで5番人気のレッドリヴェールに騎乗。単勝オッズ1.7倍という圧倒的1番人気の名牝ハープスターがゴール手前100mあたりから前を走っていたレッドリヴェールを猛追。しかし、戸崎騎手は栗東に出向いて1週前追い切りで感触を掴んでいたことも功を奏し、冷静な騎乗でこれを抑え込み、ハナ差で勝利を掴みました。この結果は、戸崎騎手の準備力と実力を改めて証明した一戦となりました。

これら2つのレースは、前走までの主戦騎手が当該GⅠレースには騎乗しておらず、騎乗馬が固定されていない状況で戸崎騎手に白羽の矢が立ったケースです。厳しい条件下でも勝利を掴み取る戸崎騎手の実力を如実に示すものと言えるでしょう。

馬との信頼関係を築く対応力

戸崎騎手はテン乗りであっても、短期間で馬の特徴や癖を把握し、最大限に能力を引き出す力が際立っています。その一例として、調教段階から自ら積極的に関わる姿勢が挙げられます。例えば、ストレイトガールのヴィクトリアマイルでは、栗東に遠征して追い切りに参加し、ソングラインの安田記念では3週連続で調教に跨るなど、こうした取り組みは単に馬の状態を確認するだけでなく、馬とのコミュニケーションを深める一環と考えられます。

勝負に燃える気持ちと特有の闘志

戸崎騎手が4番人気や5番人気の馬を勝利に導きあっと驚かせるような結果を残すのは、並々ならぬ闘志が関係しているのかもしれません。JRA移籍後に3年連続でリーディングジョッキーとなった実績は、競争の激しい舞台で常に勝ちにこだわる姿勢を物語っています。特に、ライバルとなるルメール騎手や、同じ地方騎手出身の岩田康成騎手などが相手になると、普段以上に気持ちが高まり、闘志がみなぎるのではないでしょうか。

レース展開を見極める適応力

「戸崎マジック」の事例を振り返ると、いずれも好位差しからの差し切り勝ちという展開が見られます。これは、戸崎騎手がレースの流れを冷静に見極め、馬が最高のタイミングで仕掛けられるように操る卓越した能力を示唆しています。好位から差し切る競馬は、ペースを読む力と馬の瞬発力を最大限に活かす騎手の腕が求められるスタイルです。

GⅠ奪取への強いモチベーション

GⅠ制覇が可能な馬に騎乗依頼があること自体が、戸崎騎手にとって大きなモチベーションアップに繋がっているものと考えられます。地方競馬からJRAへと移籍し、長年にわたりトップの座を維持してきた彼にとって、GⅠレースの舞台は特別な意味を持つはずです。その大舞台で、テン乗りの不利をものともせず結果を残す姿勢には、陣営やファンの期待に応えたいという強い意志の表れではないかと見ています。

騎乗依頼が集まりやすい独自のポジション

ルメール騎手や川田騎手のようなトップジョッキーは、デビュー時から有力馬の騎乗依頼が集中するため、それらの馬が順調に勝ち進み、GⅠレースに出走するケースが非常に多いのが特徴です。その結果、同じGⅠレースで複数の主戦を務める馬が出走し、どの馬を選ぶかという選択を迫られる状況が生まれます。

一方で、戸崎騎手の場合、ルメール騎手や川田騎手ほど多くの有力馬に騎乗する機会が少ないため、相対的にGⅠへ駒を進める馬の数が限られる現実があります。こうした背景から、主戦ジョッキーが選ばなかった鞍上未定の有力馬に、実績のある戸崎騎手に騎乗依頼が集まりやすい構造になっているのも事実です。

しかし、それをチャンスに変え、テン乗りという不利な条件をものともせず結果を出すのは、戸崎騎手の実力と努力の賜物です。「戸崎マジック」が炸裂する背景には、このような競馬界の構図が密接に関係していると考えられます。

まとめ 〜戸崎マジックが炸裂する5つのサイン〜

「戸崎マジック」が炸裂したレースには、いくつかの共通したパターンが見られます。以下の5つのサインを押さえておくことで、WIN5予想に役立つ新たな視点が得られるかもしれません。

これらの5つのサインが全て出揃った時、新たな「戸崎マジック」が炸裂する可能性が大いに高まります。今後のGⅠ予想では、このサインを見逃さずにWIN5の買い目に役立ててみてください!